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読書レビュー「日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る」

32年前のあの夏の日のこと。
1985年8月12日。11歳だった私は、524名もの乗員乗客を乗せたジャンボジェット機が群馬の山に墜落し、一つ年上の川上慶子さんという女の子が、たった4人の生存者の一人として救助されたとのニュースを、ただただ、テレビに釘づけになって見ていました。

大きな飛行機が、524名もの乗客・乗員を乗せて墜落したということ。
「墜落したらしい」と夜のうちに報道されたのに、墜落現場がなかなか特定されなかったこと。
朝になって墜落現場が判明して救助活動がやっと始まったということ。

しかも、墜落現場は、私が住んでいる群馬県の上野村。もっと小さな頃に夏休みの旅行に行った村であったこと。

4名だけが助かったということ。
助かったけれど、川上慶子さんは、お父さんもお母さんも妹さんも亡くすという現実にさらされているということ。
川上慶子さんは、家にいて無事だったお兄さんと二人で、これから生きていかなければならないこと。

犠牲者には、歌手の坂本九さんがいたこと。
一家の大黒柱であるビジネスマンのお父さんたちが、亡くなったこと。
家族みんなで帰省や旅行で事故機に乗り合せて、皆で亡くなってしまったこと。
家族の何人かが乗り合せて、突然家族を失った遺族がいるということ。
520人も。
当時私が通っていた小学校は全校児童で1,000名余。
その半分の人数と同じ数の命が、一遍に失われたということ。

事故後に遺体安置所が置かれた藤岡体育館は、私の母の実家に近いということ。
知っているお医者さんが、検死に動員されたということ。

私にとって、1985年8月12日の日本航空123便墜落事故は、そういう個人的な思い出の中にあり、その現場となった群馬県民として、日本航空史上最悪のこの事故を絶対に忘れないと思っていました。

逆に言うと、それのみでした。
個人的な思いの中にあるものだけ。

「本当に、墜落現場は朝まで特定されなかったんだろうか?」「なんで、4人しか助からなかったのか?」「事故原因は、ボーイング社の修理ミスによる後部圧力隔壁の破損によるものということだが、本当にそれだけなんだろうか?」等々、何の疑問も持たずに。

でも、犠牲者の皆様の33回忌にあたる今年、生存者の一人であり非番として乗り合せていた客室乗務員の落合由美さんの後輩である青山透子氏が、丹念な取材をもとにして書いたこの本「日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る」を読んで、あの事故は、本当に事故だったのだろうかという疑問が、やっと頭に浮かんできました。

この本には、墜落の瞬間まで乗客の命を守ろうと職務を遂行した乗員の視点、政治家の視点、遺族の視点、上野村小学校と中学校の文集に残された子供達の視点、目撃者たちが見たもの、遺体と遺品から見えるもの、それらが、実際の証言をベースに丁寧に描かれています。

次々に明らかにされる事実。専門的な内容でも一般的な読者を対象に分かりやすく書かれたストーリーテラーとしての筆致の素晴らしさにひきこまれて読み進み、最後に著者が導く仮説には、衝撃を受けました。

本当に、事故だったのだろうか。
事件だった可能性も否定できないのではないか。

amazonの本書紹介に書かれている内容を引用します。

*本書が追求する問題点
●公式記録にはないファントム二機の追尾が目撃されている。
●日航機に付着した赤い形状のものが目撃されたが、それは何か。
●地元群馬県上野村の小中学校の文集に寄せられた子どもたちの目撃証言。
●米軍機が墜落地点を連絡したにもかかわらず、なぜ現場の特定が遅れたのか。
●ジェット燃料の火災ではありえない遺体の完全炭化から考えられるある種の武器使用の疑い。
●事故原因はなぜ意図的に漏洩されたのか。
●圧力隔壁修理ミス原因説への疑問。

疑惑の証拠隠滅につながる数々の証言をもとに、今まで隠蔽されてきた問題が次々と明らかとなり、この事故が「事件」であった可能性が浮かび上がっていく。

 

今回この本を読んだことをきっかけに、webで検索したら、この事故については本当に様々な情報が飛び交っていることが分かります。けれど、事実の裏付けがあるのか疑問に思う情報もある印象も受けます。それに対して、本書は東京大学で博士号を取得している筆者が自身での取材や調査を通して証拠としての信憑性が高い情報だけをもとに書いている点が、他の情報とは一線を画すものだと思います。

この情報の質の高さについては、評論家の森永卓郎氏が「マガジン9」というサイトの「第76回:日航123便はなぜ墜落したのか(森永卓郎)」の投稿でも書かれています。

「知ること」「関心をもつこと」「忘れないこと」が、540名の尊い命への鎮魂です。

また、筆者は、この事件をとおして、考察を深め、私達はそれぞれが未来のためにも自分の道としてプロとしての矜持をもつべき、とも書いています。

置かれた立場によって嘘をついていいのか。いいわけがない。

ご興味のある方、ぜひ読んでみてください。