人生は遊園地
144㎝ミニマムサイズ女子が楽しむ気になることとか、グルメとか楽しいこととか子育てとか。。人生丸ごと遊園地にしちゃおう
本や映画や

2017年芥川受賞作品「おらおらでひとりいぐも」を読みました(*^^*)

 

空前の生涯未婚率!?とか、離婚が増えているとか、孤独死とか、何かと「独り」での生き方に目が行くのは、私が独身だからとか、そういう個人的に置かれた立場や気のせいではないはず。

だって、実際時代がそうなっているようですから(*^^*)

数字を見ると、50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を言う「生涯未婚率」は、2015年度の集計で男性が23.4%、女性が14.1%だそうです。(国立社会保障・人口問題研究所)

つまり、男性が4~5人集まればそのうち一人は生涯独身、女性が7人ほど集まればそのうち一人は生涯独身、ということ。

女性の方が生涯未婚率が低い、つまり結婚したことがある人が多く、男性の方が生涯未婚率が高い、つまり結婚したことがある人の割合が女性より低い、というのは人口構成もあるだろうけれど、カップルの数は同じだとすると、男性の方が複数回結婚した人が多くて、女性の方が結婚回数は低いと言うこと??という別の疑問も頭をもたげてきます。が、ともかく、特に男性の4~5人に一人が一生結婚しないというのは、結構高い比率だなぁという印象を受けます。

離婚の方は、同じく2015年の数字を見ると、離婚件数は22 万 6215 組。同年の婚姻件数は 63 万 5156組なので、シンプルに離婚件数を婚姻件数を比べると、3組のうち1組が離婚しているということ。

まぁ、この数字は、結婚した人が実際に離婚した割合ではないので、単純に3組のうち1組とは言えませんね。でも、人口も婚姻件数自体も減少している時代背景から考えると、3分の1のカップルが離婚するという印象も、実際とはそんなに大きくかけ離れていないように思います。

少し前は「おひとりさま」という言葉とか、「負け犬の遠吠え」とか、独りであることを、ちょっとシニカルに、ちょっと軽やかに、ちょっとほろ苦く、でも楽しく、みたいな雰囲気もあったように思います。でも、最近の「孤独」とか「独り」はもっと現実的で切実。

独りであろうが、二人であろうが、大家族であろうが、「生きる」ことに変わりはないわけで、現実問題は、独りにも二人にも大家族にも降りかかってくる。でも、どんな状況であれ「独り」でもちゃんと生きていく、という覚悟は必要だよなぁ。。かと思えば一方では、これだけ「独り」が増えているんだから、社会インフラやサービスも、「独り」前提になっていくから、悲観ばっかりしなくったって大丈夫かも??とちゃっかり開き直っちゃったり(*^^)b 考え始めたらキリがない。

そんな風に捉えていたこの頃。2018年の芥川賞受賞作品「おらおらでひとりいぐも」を読みました。

63歳で芥川賞受賞作家となった、若竹千佐子さんのデビュー作。

最愛の夫を亡くした74歳の桃子さん。
都会の片隅で、子供達とも疎遠になり、独り、夫との思い出を胸に、日々日々を暮らしている。
そんな桃子さんも、20代の頃に、結婚が決まっていたというのに東北の実家を飛び出し東京へ単身出てきた、若かった時代があって。
東京で出逢った、同郷の夫と笑いながら過ごした時代があって。
子供達を懸命に育てた時代があって。
夫のことが好きで好きで、夫のために生きていると思ったのに、夫の病に気付かず、一日も看病する間もなく突然亡くした時から、圧倒的な孤独に支配されながら生きている、今。

そんな桃子さんが、移り行く季節の中で、子どもの頃の思い出、若かった日のこと、夫との出会い、これまでずっと過ごしてきた日々を辿りながら、孤独を噛みしめて生きていく物語。

登場人物は、殆ど桃子さんだけ。途中、娘と孫娘が出てくるけれど、物語は殆ど桃子さんの今と昔の想いの中で進みます。地味、といえば地味だけれど、桃子さんの心の世界は本当に広くて豊か。

そして、桃子さんの心の世界に引き込まれる時は、桃子さんが生まれ育った東北の言葉で語られます。東北弁を私は喋れないけれど、読んでいるだけで、なんとも懐かしく胸に迫るのは、きっと、桃子さんの思う気持ちを、私もどっかで感じたことがあったり、これから感じることがあるだろう、と思うからかも。

「独り」を圧倒的に噛みしめて、自分の身にして血にして骨にする。何度も何度も噛みしめる。そうして生きていく。そんな印象でお話は進みましたが、最後には、圧倒的な「独り」を悠々と無視して吹き込んできた春風のような孫娘の存在に、フワっと心が軽くなったりして(*^^*)

素敵な本でした。

テーマもさることながら、私が今回一番感動したのは、言葉が美しいこと。

桃子さんの東北弁もいいですが、地の文の日本語も本当に素晴らしい。さすが純文学、芥川賞だなぁ。。と感服し、2度読みました。これからも、読むと思います。美しい言葉に会いたくなったら。

余談ですが。作者の若竹千佐子さんは、実際にご主人に突然先立たれています。仲の良いご夫妻だったようで、小説講座に通って書く若竹さんのことを、ご主人は「千佐ちゃんは、芥川賞かな、直木賞かな」とからかっていたそうです。若竹さんが、受賞を一番伝えたいのは、天国のご主人でしょうね♪ ネットで見つけたそんな記事を読みながら、クスっと笑ってウルっと涙。「二人」の幸せがあったからこその「ひとり いぐも」なのかな~と(*^^*)


(画像をクリックすると、amazonサイトにジャンプします)