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本のご紹介「チャリング・クロス街84番地 -書物を愛する人のための本」

読書の秋!なので(*^^*)

最近読んでとても面白かった本をご紹介します。

もともと、文通と料理をモチーフにした別の本のあとがきで紹介されていたものです。もともとの本も、とっても素晴らしかったのでいつかレビューを書きたいと思いながら、まだ消化中なのでまたあとで。

今日ご紹介するのは、やはり文通がモチーフの名著「チャリング・クロス街84番地 -書物を愛する人のための本」(ヘレン・ハンフ著)。

ニューヨークに住む劇作家の女性ヘレン・ハンフと、ロンドンの古書店マークス社の男性店員フランク・ドエルとその同僚や家族との文通をまとめた本。実際に交わされた書簡のみで綴られています。

ヘレンが古書店に、絶版になった本を探して欲しいと依頼するビジネス文書から始まるのですが、20年近くにもわたるやり取りの中で、自由闊達なアメリカ人女性ヘレンの辛口のユーモアと、それを優しさと礼儀正しさをもって受け取るイギリス紳士のドエル氏とその周りの人々との、ハートウォーミングなやり取りが、何とも楽しい。

手紙の始まりは、1949年10月。第二次大戦が終わり4年たっていますが、当時のイギリスは、物資が困窮していて肉や卵なども配給制だったようです。そこに住むマークス社の皆さんに、物資豊かなアメリカに住むヘレンから、ささやかなクリスマスプレゼントとして、乾燥卵や肉の缶詰が贈られるところも、驚きがあって面白かったし。

そういう時代背景も興味深いし、そもそも乾燥卵ってなんだろう??肉の缶詰??コーンビーフかな。。とか、物そのものにも興味が沸いたし。

通勤電車の中で、先が楽しみでどんどん読んで行ったのですが。。。

最初の手紙から19年立った1968年10月に、文通は突然終わってしまいます。

ヘレンは、ドエル氏とその周りの皆さんに「旅費をためてぜひお伺いします」と何度も書くし、ドエル氏とその周りの皆さんも「ぜひ、うちを宿にしてください」など書いて、直接会うことを楽しみにしていたのに、一度も会うことなく。

何故終わってしまうのか。。。。って??

ネタバレだから書いて良いものか迷うけれど、ちょっと書いてしまおう。

生きとし生けるものならば必ず迎える、生の終わりによって。

ニューヨークで劇作家という競争の厳しい仕事の世界で生きる一人の女性と、ロンドンで家族をかかえ忙しく働く古書店勤務と男性との、手紙を通した交流は、時間にしてみたら、彼らの人生の中でも、さほど大きなポーションではないかもしれません。ましてや、一度も会わずに19年たってしまうのだから、空間的な共有はゼロ。

だけど、手紙を書き、読み、周りの人達とその楽しさを共有する時間の、なんて心豊かなこと。

読書中の楽しさと、読了した、してしまった今の寂しさのギャップがこんなに大きいのは、たぶん、本当に交わされた書簡ならではの迫力だったんだと思います。

そして、エピローグに置かれた、残された家族からの手紙が、本当に秀逸。

終わっても、始まっているし、続いている。忙しく、幸せに。

誰かに、手紙が書きたくなっりました(^^♪

良い本です。

ちなみに、私が読んだのは、新しい本ではなく、絶版になった講談社のハードカバーです。県立図書館で借りてきました。

書簡のやり取りは、古書の注文が軸になっていますから、30年以上前に発行されて、昭和時代からの古い図書カードのケースがついたままになっている古書の、色あせた頁を繰るのも、なかなかオツでしたよ(*^^*)