今年は一流アーティストの方のコンサートに行く機会が何度かあり、ハッピーでした♡ 感謝。そんな今年最後のビッグアーティストコンサートは、ジャズピアニストの山中千尋さん! 群馬県桐生市のご出身。今や、ニューヨークを拠点に世界中で大活躍の日本が誇る女性ジャズピアニストです!
いきなりですが、コンサート後のサイン会でこんな可愛らしいサインをいただいたので、嬉しくて見せびらかせちゃいます(^o^)丿
山中さん、ありがとうございま~す♡
小さな細い全身を使って繰りだすダイナミックな演奏。You Tubeで何度か演奏は聴いたことがありましたが、いやはや、本物の迫力は圧巻でした。
今回は、往年の天才ジャズピアニスト、セロニアス・モンクの生誕100周年を記念したコンサートでした。でも、いわゆるジャズの名曲だけではなく、誰でも知っている曲、たとえば「エリーゼのために」「愛の夢」「エンターテイナー」なども、モンク風、あるいは山中さんならではの魅力たっぷりに沢山演奏してくれたので、意外な驚きと親しみを持ってすごく楽しめました。そのあたりの内容構成も、ふるさと群馬の里帰りコンサート、しかも土曜日の昼間という、おそらくあまりジャズを聞いたことがなくても山中千尋さんだから聞いてみよう、とやってくる客層も意識されてのことでしょうか、さすがでした。
曲目はこんな感じ。暗いコンサート会場の客席で、コンサートの途中で思いついて聴きながらメモを取ったので、前後したりちょっと抜けたりしているかもしれませんけど。
Ⅰ部(45分)
1.山中さんのオリジナル曲
題名はメモをとりそこねました。。。千尋ワールド炸裂の前兆となるような、身体全体を使ってのダイナミックな演奏に最初から圧倒されました。
2.Pannonica(パノニカ。セロニアス・モンク作曲)
原曲は4拍子とのことですが、7拍子で演奏。この頃、奇数拍子で演奏するのがジャズの最先端流行なんですって!
優しく、あたたかな昼下がりの街を軽やかに小走りしながら楽しんでいるような印象の素敵な曲です。「パノニカ」はある蝶々の名前。モンクが、生涯パトロンであったニカ夫人に捧げた曲。
ちなみにニカ夫人は、イギリスの財閥ロスチャイルド家出身で、1950年代~60年代に、モンクだけでなく多くのジャズマン達のパトロンだったそうです。火事で焼け出されたモンクファミリーを家に住まわせたり、モダン・ジャズの父と言われるサックス奏者チャーリー・パーカーの最期をみとったり。モンク自身も、ニカ夫人のところで最期を迎えたそう。そんなわけで、ニカ夫人に捧げる曲は、「パノニカ」の他にも多くあるそうです。ジャズ界の歴史を作る影の支援者であった女性なのですね。
3.Take5 (テイク・ファイブ。ポール・デスモンド作曲)
4分の5拍子の名曲。これはたぶん、ジャズを聞いたことがない人でも、どこかで一度は耳にしているはず。
山中さんのアレンジがまたダイナミック。
ちなみに5拍子って、たとえば、ミッション・インポッシブルのテーマが5拍子ですね。1,2,3,4・5と最後の4と5にアクセントがあるような、急いだ感じのリズムが独特で、一度聞いたら忘れられない楽しさがあります。
4.エリーゼのために(ベートーベン作曲)
あの有名なピアノ曲、エリーゼのためにです。日本人なら誰でも聞いたことがありますよね♬
これを、モンクが演奏したらどうなるか、というモンクへのトリビュート演奏。
モンクって、たまに、メチャクチャな音を重ねて、子供が遊び弾きをしているようなコミカルさを感じることがあります。それも、たぶん、計算しつくされた音の構成なんだと思うのですが。それを聞くと、「あー!!モンクらしい~~~!!」って楽しくなるんですが、山中さんがそのコミカルさと超絶技巧を見事に余すことなく披露されていて、すごく楽しい「エリーゼのために」でした。
Ⅱ部(60分)
1.The Entertainer(エンターテイナー。スコット・ジョプリン作曲)
ラグタイムの名曲で、これも、誰でも一度は聞いたことがあると思います。
この曲は、弾くたびに全然違うふうに展開するそうで「今回、どんなふうになるか分からないんですが、弾いてみたいと思います」と始められました。
聞きなれた軽快なメロディーで始まった、エンターテイナー。が、どんどんと発展して、すごく大きな音の世界へ♬
山中さんご本人も、一緒に合わせているドラムの桃井裕範さん、ベースの山本裕之さんも、どんなふうに展開するか分からない魅力を楽しんでいらっしゃるようでした。
一度ピアノで弾いたことがある高1娘は、「あのエンターテイナーが、あんなにすごく大きく展開していくんだね、ジャズってすごい」と感激していました。
2.Ruby, My Dear(ルビー・マイ・ディア。セロニアス・モンク作曲)
モンクの作品のトリビュート演奏。
美しいメロディがまた、山中さんのダイナミックな演奏でどんどんと展開していく。
3.Summer Time (サマータイム。ジョージ・ガーシュウイン作曲)
ジャズのスタンダードナンバー。もともと、ガーシュインがオペラ『ポーギーとべス』の中のアリア曲として作曲したもの。
劇中では、生まれたばかりの赤ん坊への子守歌として歌われるそうで、ゆったりとしたブルース調の、かったるい夏の暑さがまとわりつくようなメロディが印象的な曲です。ボーカルや、管楽器では聞いたことがあったのですが、ピアノトリオだとどんな感じなんだろうと思ったら、あんな感じでした。って、それじゃ分からないですね(笑)ちゃんとメロディを聞かせるところは、ピアノの真ん中の位置ではっきりとメロディーを。それから、またグイグイとダイナミックなチヒロワールドへ♬ 素晴らしかった。
ちなみに、76歳の母は、若い頃よく聴いたようで、この曲が一番印象的だったようです。あの曲が、こんな素敵なアレンジになるなんて、と帰り道にしきりに話していました。
4.愛の夢(リスト作曲)
そう、あの「愛の夢」です。リストの名曲。
山中さんおっしゃるに「原曲は、とーってもロマンチックな曲なんですが、はい、見事に、ぶち壊してみました♡」と(笑)
もう、この曲は、最初から、「え!?これが、あの、愛の夢なの!??」って目が覚めるほどにインパクトのある力強い出だし(^^♪ 可愛らしく美しいのにダイナミックでお笑い大好きという、意外性の固まりみたいな山中さんの魅力そのまんま(^o^)丿 途中で、サビのフレーズが出てきて、あ、やっぱり、これ、「愛の夢」だわ、と納得したり(^^♪
5.ハートブレイクヒル(山中千尋作曲)
今、山中さんはボストンにある母校バークレー音楽院の先生もされているそうです。ニューヨークの拠点とボストンを行ったり来たりする生活。
ボストンは、ボストンマラソンも有名で、あのコースの一番最後が、ものすごい登り坂、まさに、心臓破りの坂、ハートブレイクヒルなんだそうです。
その坂を最後の力を振り絞って駆け抜けるランナーたちの姿にインスピレーションを得て作曲されたそうです。ランナーたちの息遣いと、闘いの熱気が伝わってくるようなエネルギッシュな曲です。
6.八木節(群馬と栃木の民謡)
「これは、プログラムに書いてあるので演奏しないわけにはいかないですね」と笑いをとって、5のハートブレイクヒルとメドレーで演奏。
脱線しますが、八木節は、発祥地について群馬と栃木で、どちらが先なのかという論争が続いているらしく(笑)、ここでも、この夏映画にもなった「お前はまだグンマを知らない」でコミカルに描かれる群馬vs栃木論争があったか、という未だに新しい笑える話題を提供している偉大な伝統民謡(^o^)丿
山中さんが子供時代を過ごした群馬県桐生市では、夏に「桐生八木節祭り」という大きなお祭りが開かれています。子どもの頃を思い出すのでしょうか。時折演奏されるメインフレーズのところでは、観客の皆さんの方を向いてニコっとされながら演奏していましたよ。
ここまでがプログラムの本編。そして、拍手が鳴りやまずにアンコール。
いつもは「So Long」という曲を演奏されるそうですが、今回は、クライスラー作曲のバイオリン&ピアノの名曲「愛の悲しみ」でした。この曲は、3月に行ったコンサートですっかりファンになってしまった五嶋龍くんのベストアルバムにも収録されているので、私はよく聴いています。龍くんはもちろんオーソドックスにクラシカルな演奏スタイルですが、あら、あの曲が山中さんの手にかかると、こんなアレンジに(^^♪ と意外な楽しみばっかり。
この曲では、演奏者一人一人のソロがタップリありました。最後の山中さんのソロは、これまでのどの曲にも増して、彼女のピアニストとしての底力というか、「ピアニズム」というのでしょうか、ピアニストとしての彼女の熟練の技術と情熱と表現力がすべてつまったような迫力がありました。ペダルを踏む音、それがピアノ本体に共鳴する音、全身を使って、88鍵全てを自在に動き回ってダイナミックに繰りだす音楽、そして時には平手打ちで打楽器のようにピアノを打ち盛り上げる。
クライスラーの「愛の悲しみ」は、「愛の喜び」と対になる曲で、日本ではその2曲と「美しきロスマリン」と合わせて結婚式でよく演奏されるそうです。だからおめでたい曲。山中さんも子どもの頃、妹さんと一緒によく演奏したそうです。山中さんは子どもの頃から上手かったと思いますが、それには本当に沢山の練習を重ねたんでしょうし、今、ふるさとへの里帰りコンサートで演奏されることも格別の気持ちがあったんじゃないかな、と勝手に想像してみたり。本当に素晴らしかったです!
また、山中さんは、トークが軽妙で楽しいということも聞いていたので、それも楽しみにしていました。
かくして、実際楽しかった(´▽`*)
トークの中でさらっと
「今朝(2017年12月16日土曜日)の日経新聞にも書かせていただいたのですが、セロニアス・モンクは、ジャズピアニストの中でもかなり異端な演奏をする方で、たとえばオスカー・ピーターソンやビル・エバンスみたいに流れるような演奏を聴いた後にモンクを聞くと、印象派の絵を見ているなかに、突然あいだみつをの『にんげんだもの』が殴りこんできたみたいな、それくらいのインパクトがあるんです。
いきつけのレストランの女主人が『ジャズ聴くなら何がいい?』と聞くのでモンクをご紹介したら、次に行った時に『あなた、聴いたわよ!ムンク』と、なぜか、モンクがムンクになっちゃって、モンクに文句言われそうだわ、なんていうお話になったり。でも、実際のモンクは、英語では『お坊さん』の意味もあるように、とても辛抱強い方だったようです」
なんておっしゃるから、家に帰ってからすぐに日経新聞をチェック。読書コーナーで、ロビン・ケリー著『セロニアス・モンク』を紹介されていました。
また、これも山中さんのトークで知ったことですが、今年はジャズの演奏が初めて録音されてから100年という記念の年なんですって。そして、セロニアス・モンク生誕100周年。アニバーサリーはまだ続き、来年はガーシュインの生誕120周年。ちなみに、山中さんは、トークの中で、ガーシュインの生誕100年だっけな?死んでからだっけな??なんておっしゃってて、その天然なボケでも笑いをとっていました。家で調べたら、生誕120周年とのこと。
まー、そんな感じで、とても楽しいコンサートでした♬
「まー、そんな感じで」というフレーズも、実は、山中さんのトークからの引用です。来年以降は、ヨーロッパ各地やイスラエル、東京でのホールコンサート等が続くようで、再来年まで予定はびっしり。今回会場となった前橋は来年はなくて再来年です。とサラサラとおっしゃりながら、最後のアンコール曲の紹介を「まぁ~、そんな感じで」と始めたのが可笑しくて、会場が笑いの渦へ(^o^)丿
これは、その場に一緒にいないとなかなか感じることのできない間合いですが、山中千尋さんのコンサートは、その演奏の素晴らしさと天然なトークが魅力の、なんとも楽しいコンサートでした(*^^*)
山中さん、ありがとうございました!!
感動したよ~!!っていうだけのお話を最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました♡
山中千尋さんのコンサート、行ってみたくなりましたでしょうか?少なくとも、山中千尋さんの演奏を聴いてみたくなりましたでしょうか?
そうでもない??
いや、そんなことないでしょう!?だって、こんな長~い文章をここまで読んでくださったんだから♬
なので、ここまで読んでくださった皆様への御礼として、山中千尋さんの演奏と魅力が楽しめる情報をお知らせします。どなたでも、どれかしら一つは楽しめると思います。ぜひ、ジャズピアニスト、山中千尋さんの魅力がつまった世界をお楽しみください♡
【山中千尋さんの最新アルバム】
セロニアス・モンク生誕100周年のトリビュート・アルバム。今回のコンサートでは、この中からも演奏されていました。コンサートではアコースティックのグランドピアノだけでしたが、アルバムではシンセサイザーなどエレキ系の鍵盤も使って、一味違ったテイストで素敵です。
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最後までお楽しみくださり、ありがとうございました(*^^*)
山中さんのこれからのご活躍も楽しみです♬
次回、前橋でコンサートをされるのは再来年とのこと。また行こうと思います。
これからの2年で、山中さんの演奏がどんなふうに進化していくのか、ご活躍の幅をどんなふうに広げていかれるのか、本当に楽しみです。
そして、山中さんが上毛新聞にコラムを掲載してから200回を超えたとコンサートでおっしゃっていたのにあやかって、まったくもって私事ですが、ちゃっかり私も回数記念と今後の抱負を(^^♪
実は、この記事が、このブログの100記事目です(*^^*)
この夏、それまでSNSで、友達向けにだけに好き勝手に書いていた、お料理のレシピや写真の撮り方とか、ちょっとしたノウハウとか本の紹介、アロマの楽しみ方や、クスっと笑っちゃうことなどを、SNSを飛び出してブログで発信してみたら、「あ、それいいかも!」と、楽しみ作りのヒントにしてくれる方がいるかもしれない、と始めたブログです。年内に100記事は書いてみよう、と決めて目標達成(^o^)丿
今度、山中さんのコンサートへ行くまでに、私もこのブログを何記事まで増やせるだろう。何が、どんなふうに変わっているだろう、自分の目標に近づいているだろうか、そんなことを楽しみにしながら、またワクワクと、美味しいものや楽しいこと、スパイシーだったり甘かったり、良い香り~なこと達を発信していこうと思います(*^^*)
縁あって当駄ブログをお読みくださる優しい皆さま、いつもありがとうございます。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします_(._.)_