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双極性障害とは?~なりやすい性格や有名人、接し方

北杜夫氏の「どくとるマンボウ航海記」が好きです。

1950年代に、船医として水産庁の漁業調査船に乗り込んだ若き日の北杜夫氏のユニークな視点から見た旅行記。船内での出来事、行った先々での見聞録。お医者さんなのに、あまりにいい加減で笑っちゃったり。何度読んでも新鮮な楽しさがある本です。

そんな北杜夫氏が、実は躁うつ病で苦しんでいたと知ったときは、あぁ、だからこそあんなにもイキイキとしたエッセイが書けるのかなと思ってみたり。

北杜夫さんのお嬢様でエッセイストの斎藤由香さんは「パパは楽しい躁うつ病 」を書いていて、「精神病」として隠すのではなく、明るく書いているところに、強さと逞しさ、それから家族としての愛を感じたりして。

思い出していたら、そんな「躁うつ病」正確には「双極性障害」が気になってきました。そこで、今回は、なりやすい性格はあるのか、双極性障害といわれる有名人は他にもいるのか、また双極性障害の方との接し方を調べてみました。

双極性障害(躁うつ病)とは?

「双極性障害」とは、躁の状態とうつ病の状態を繰り返す、精神疾患です。精神疾患の中でも気分障害といわれるものです。以前は、「躁うつ病」といわれていました。

最近の研究によると、気分障害は、ノルアドレナリンとセロトニンといわれる脳内の神経伝達物質のバランスの変化が原因のひとつとされているそうです。

躁状態の時は、自尊心が大きくなり、大きな声で喋ったり、金遣いが荒くなったり、アイデアがどんどんひらめいたり、活発でどんどん活動範囲が広くなります。あまり眠らなくても苦にならず、食欲や性欲が増し、注意力が散漫になるといいます。

一見明るくてよいようですが、悪化するとイライラしたり、怒鳴り散らしたり、勢いで取り返しのつかないことをしてしまったりすることもあるので注意が必要な状態です。

社会的には離婚や破産などに至ることあるといわれます。北杜夫さんの場合も、躁状態の時は、株に手を出してどんどんお金を使ってしまい家計を火の車にしてしまったり、次から次へとアイデアがわいてきて家族を困らせるほどだったりしたそうです。

対してうつ状態の時は、悲観的になり、自分を責めたり、自分には価値がないと思いこんだり、悲しみや無力感、脱力感に襲われてしまいます。集中力や決断力も低下して、不眠になることも多いようです。食欲や性欲は低下し、体調としても頭痛や肩こり、胃の不快感や口の渇き、全身倦怠感や便秘、疲れやすさなどにより、全体的にエネルギーが低下してしまいます。

このように、まったく対極の精神状態を繰り返すのですから、ご本人も周りの方も辛い状態ですね。。

双極性障害になりやすい性格は?きっかけはあるのか?

では、双極性障害になりやすい性格やきっかけはあるのでしょうか?

調べてみると、気分障害の一つとされる双極性障害は、なりやすい傾向の性格があるそうです。

気分障害になりやすい性格としては、下記の気質・性格といわれています。

●循環気質: 明朗、社交的、世話好き、同調傾向の性格
●執着気質: 几帳面、凝り性、徹底主義、正義感や責任感が強い
●メランコリー親和的性格: 几帳面、秩序を好む、他人を配慮する性格など

また、下記のように、生活や仕事、家庭などの環境の変化を大きくする出来事が発症のきっかけになる場合があるようです。

転勤、転職、異動、昇進、退職、出産、転居、子供の独立、死別、離別など

こうしてみると、明るくて、協調性があり、繊細で、他人への思いやりがあり、まじめな性格の人が、大きな環境変化を乗り越えるストレスをきっかけに、双極性障害になる可能性があるのかな、など感じてきますね。

誰でもなる可能性があるともいえると思います。そういう可能性を、誰でも持っていることを知っておきたいですね。

双極性障害の有名人は?山口達也さん、マライア・キャリーさん、坂口恭平さん等、芸術家にも多い!?

では、双極性障害の有名人は、いるのでしょうか?

調べてみると、思いのほか沢山の方々がいて、少し驚きました。

前述の北杜夫氏の他、最近では、TOKIOの山口達也さんも双極性障害ではといわれていますね。歌手のマライア・キャリーさんも長年苦しんでいたと告白していました。

歴史をみると、古く18世紀生まれの人物では、大詩人のゲーテ、作曲家のベートーベン

19世紀生まれの人では、作曲家のロベルト・シューマン、画家のゴッホ、イギリスの政治家のチャーチル、ロシアの政治家フルシチョフ、アメリカの作家ヘミングウェイ、日本人では、宮沢賢治夏目漱石

20世紀前半生まれでは、日本を代表する数学者である岡潔、作家の太宰治坂口安吾遠藤周作北杜夫、書誌学者の谷沢永一、俳優の田宮二郎、名画「風と共に去りぬ」のヒロインを演じたヴィヴィアン・リー、イギリスの俳優ジェレミー・ブレット、アメリカのミュージシャンブライアン・ウィルソン

20世紀後半生まれの、現在でも活躍中の有名人としては、中島らも氏玉置浩二氏泰葉さん、作家の絲山秋子さんや諏訪哲史さん、建築家でタレントの坂口恭平さん。外国ではキャサリン・セダ・ジョーンズさんや、デミ・ロバートさん等。

作家や芸術、芸能分野の方が多いことに驚きますね。

多くの芸術家が双極性障害だったという説もあり、双極性障害と創造性の相関関係が議論されることもあるようですが、明快な根拠は見つかっていないそうです。

皆さん、病気をかかえながらも、創造力を発揮し、ご自分の人生を生きていらっしゃること、本当に素晴らしいなと思います。

双極性障害と診断され家族や身近な人との接し方

どんな方でもなる可能性を秘めている双極性障害。もし、身近な家族や友人がなってしまったら、どう接したらよいのでしょうか?

まず、病院を受診して、医師のアドバイスに従うのが良いでしょう。様々な薬や生活改善などの治療がありますから、まずはよく連携をとってサポートをしたいところです。

そのうえで、身近な方がなってしまった場合は、私たちも病気を理解しておくことが大切です。

双極性障害になると、30~50%の期間は、うつ状態だといわれます。

家族としては、躁状態になると手に負えなくなるため、うつ状態の静かな状態のほうが好ましいと思うことが多いそうです。でも、ご本人にとっては、うつ状態は長く、つらい状態で、躁状態の時は気分が軽くなるため調子が良いと思うため、周囲と本人でギャップがある場合があります。

そういうギャップがあると、家族の中でストレスがたまり、悪循環を繰り返すという状態に陥ってしまう危険性もあるといいます。

ですから、家族みなで、症状の特徴やきっかけを共有してサポートしていくことが大切なようです。

まず、うつ状態の場合は本人のエネルギーが下がっているので、休養が必要な状態です。こんなときに「がんばって」「いつ治るの?」「薬にばかり頼っちゃだめじゃない」など責めないようにします。

躁状態の場合は、本人はエネルギーがありあまり、暴走する傾向がありますが、その状態を責めたり非難したりしないようにしましょう。また、躁の状態では、本人には病気の自覚がないそうです。ですから、その状態で病院の受診を拒む場合には、心の面ではなく身体のことで病院へ行こうなど、本人が納得する形で病院の受診を促すなどの工夫が必要です。

なかなか大変ですが、本人も苦しんでいるので、愛情を持って接するのが一番大切だということですね。前述した斎藤由香さんの「パパは楽しい躁うつ病 」(新潮文庫)には、双極性障害と闘う父親の娘としての視点から明るく描かれたエピソードが満載。もし、悩んでいる方がいたら、元気が出るかもしれませんので、おすすめです。

まとめ

いかがでしたか?今回は、双極性障害についてみてきました。

大切なことは、病気を理解することと、その病気にかかって何かしてしまう時は、本人の意思がそうさせるのではなく、病気がそうさせるのだ、と切り離して考えて、大切な人や自分を愛情をもって守っていくことだなと思いました。

最後まで読んで下さりあありがとうございました!
あなたにとって、何かの参考になれば幸いです。

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