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「ONCE ダブリンの街角で」を観ました。

美味しく、香りよく、自然を感じながら楽しく暮らす身近なTipsを書いているこのブログですが、心の栄養も、楽しく暮らすTipsのひとつ。読書や、映画鑑賞、美術館巡りや、小さな旅など。

というわけで、時折、何も決めずにレンタルDVD屋さんや行って、パッと目についた映画DVDを借りてきて観ることがあります。

今回パッと目に着いたのは、「ONCE ダブリンの街角で」という映画。

アイルランドの首都ダブリンで、掃除機の修理店を営む父を手伝いながら、穴のあいたギターを手にストリートパフォーマンスをして音楽への夢を追いかけている“彼”と、チェコからの移民で花売りをしながら時折楽器店でピアノを弾かせてもらうことを楽しみにしている若い“彼女”が、音楽を通して心を通わせるお話。

一見、典型的なボーイミーツガール系のお話かと思いきや、“彼”には別の男とロンドンへ渡ってしまった忘れられない(未練がましいとも)元彼女の存在があって、“彼女”には不仲になりチェコに残してきた夫がいてダブリンでは母と幼い娘と暮しているという表からは見えない姿があり。互いに惹かれながらも、そうした事情を尊重して、それぞれの道を選択していく姿が清々しいです。シンプルなボーイミーツガールでハッピーエンド♡というのとは全然違う、なんとも言えない余韻が残ります。

これを書いちゃうと、ちょっぴりネタバレになっちゃうから、もしかしたら、観たい!と思ってくれた方に悪いので書かないけれど、最後に“彼”が“彼女”に贈るプレゼントが本当に傑作です。よくぞまぁ、思い切った!カッコいいぞ!の一言。

そうして、“彼”がデモテープを作るために、“彼”と一緒にバンドを見つけ、スタジオを思い切った価格交渉で貸し切り、そのための資金を銀行から借りるという一連の作業で見せる“彼女”の逞しさは、圧巻です。

なんで“彼”と“彼女”と書いているのかというと、彼らの名前が出てこないから。その無名さもまた、余韻の一つかなと思います。

メインの役者さんたちは、アイルランドとチェコでそれぞれアーティストとして活躍している方々だそうで、音楽もとてもいいです。

あともう一つ。この映画の製作期間にアイルランド映画局の責任者が不在で予算があまり取れず、制作費は日本円にして1,800万円ほどとのこと。お金は大事、だけど、お金だけじゃない、という驚きもまた余韻が残ります(*^^*)

私はジャズピアノを習っているのですが、ピアノに向かう度に、“彼”が“彼女”に贈った粋なプレゼントを思い出してフワっと優しい気持ちに包まれそう。

いい映画でした。映画も出会い。出会いに感謝です(*^^*)

 

mizuetty